M&A本おすすめ【個人の買い手向け】読む順番まで解説
結論: 個人M&Aなら「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」が最適解。
ただし1冊で完結すると思って読み始めると、実務の壁に必ずぶつかる。入門編で「なぜ買うか・何を買うか」の判断軸を固め、会計編でキャッシュフロー読解を身につけ、買収ノンフィクションで「8カ月の現実」を追体験する——この3冊を順番に読んで初めて、仲介会社の言葉を自分の頭で検証できるようになる。
筆者はスタートアップのEXITを3度経験している。売り手として感じたのは「買い手が財務3表を読めないと交渉が噛み合わない」ということだ。逆に言えば、買い手が財務の基礎を持っているだけで、仲介会社・売り手双方から「まともな相手」と見られる。それだけで案件情報の優先度が上がる。
この記事では、個人M&Aの買い手として今すぐ使える本を3冊に絞り込み、フェーズ別の読む順番と各書の「使いどころ」まで示す。横並びの星評価記事ではなく、「どの場面でどの本を開くか」を軸に整理した。
結論: 用途別おすすめ
今すぐM&Aに興味が出た・最初の1冊
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい(入門編)
924円で個人M&Aの全体像と判断軸が手に入る。読み始めるコストが最も低く、やめるコストも低い
案件の財務資料を渡されて何も読めない
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい(会計編)
M&A目線でBS・PL・CFを読む訓練に特化。一般会計本より実戦に直結する
LOIを出す前にリスクを把握したい
サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間
LOI〜クロージングの現実的なリスクと判断ポイントが、1つの案件を通じて時系列で把握できる
3冊すべてを通して読みたい・体系的に学ぶ
入門編→会計編→8カ月間の順で読む
各書の知識が次の本の前提として機能し、合計4,268円で買収フロー全体をカバーできる
時間がなく1冊だけ選ぶなら
サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい(入門編)
判断軸・プロセス全体像・仲介会社との付き合い方まで、1冊で最低限の地図が手に入る
スコアリング基準
個人・中小企業オーナーが実際の買収判断(DD・交渉・契約)に使える具体的知識が書かれているか
専門知識ゼロの読者でも財務3表・バリュエーション・のれんなどM&Aに必要な会計知識を習得できるか
数千万〜数億円規模の小規模案件を想定した内容か。大企業M&A向けの記述が多すぎないか
価格・ページ数に対して得られる情報密度。図解・事例の豊富さ、文章の平易さ
比較表
| 項目 | サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門 | サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編 | サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間 個人M&A成功のポイント |
|---|---|---|---|
| スコア | 88 | 92 | 80 |
| 評価 | 個人M&A入門の決定版。まず手に取るべき1冊 | 財務知識ゼロからDDの入口まで連れていってくれる最速ルート | 実際の買収プロセスを8カ月分まるごと追体験できる唯一の本 |
| 価格帯 | 924 円 | 924 円 | 2,420 円 |
| 著者 | 三戸政和 | 三戸政和 | 大原達朗 |
| 出版社 | 講談社(講談社+α新書) | 講談社(講談社+α新書) | 中央経済社 |
| ページ数 | 約240ページ | 約240ページ | 約200ページ |
| 発売年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
| 推奨フェーズ | 案件探し・戦略策定 | 財務DD・バリュエーション概論 | LOI提出〜クロージング・PMI |
各商品の詳細

サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門
講談社 · 924 円
M&Aを考え始めたばかりで「そもそも個人でも買えるの?」という段階の人
Good
- ✓「なぜ個人がM&Aをするのか」という動機と論理を最初に整理してくれる
- ✓924円・新書240ページで読み通せるため、入口として心理的ハードルが低い
- ✓案件の探し方・仲介会社の選び方まで実務フローをひととおり網羅
- ✓著者自身がサラリーマンからの買収経験者であり、読者と目線が近い
Bad
- ×財務DD・バリュエーションの具体的な計算手順はほぼ触れられておらず、会計編へ誘導される構成
- ×2018年刊行のため、スモールM&A仲介プラットフォームの現状とは一部ズレがある
- ×LOI〜クロージング契約の法的論点については記述が薄い
スコア内訳

サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編
講談社 · 924 円
財務3表を読んだことはあるが「M&Aでどう使うか」がわからない人
Good
- ✓BS・PL・CFをM&Aの買い手目線で読む切り口に特化しており、一般的な会計入門書より実用性が高い
- ✓「のれん」「隠れ負債」「売掛金の実在性」など、DDで実際に確認する項目を具体的に解説
- ✓入門編と著者・シリーズが同じなので接続がスムーズで再読のコストが低い
- ✓924円というコストパフォーマンスは同テーマの書籍中で突出している
Bad
- ×バリュエーション(DCF・EBITDAマルチプル)の計算演習は少なく、数字を自分で組み立てる訓練には不十分
- ×実際の財務資料(非公開会社の決算書)の具体例が少なく、やや抽象的な説明にとどまる箇所がある
- ×入門編を読んでいない状態で手に取ると文脈が繋がりにくい
スコア内訳

サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間 個人M&A成功のポイント
中央経済社 · 2,420 円
入門編・会計編を読み終えて「実際の交渉・契約フェーズで何が起きるか」を知りたい人
Good
- ✓案件探しから最終契約まで「8カ月間のタイムライン」形式で追体験できるため、プロセス全体の解像度が上がる
- ✓著者(大原達朗)は公認会計士であり、DDで実際に使ったチェックリストや論点が実名・実数字に近い形で示される
- ✓LOI提出・価格交渉・表明保証の場面で何を確認し、どう判断したかの記述が詳細
- ✓「失敗しかけた場面」が隠されておらず、リスク感覚を現実的に持てる
Bad
- ×2,420円と他2冊より価格が高く、会計の基礎が固まっていない段階で読むと難解な箇所が出てくる
- ×著者が公認会計士のため、財務の説明が一般読者には少し専門的に感じる場面がある
- ×1つの買収事例に基づくため、別業種・別スキームの案件への汎化には読者側の読み替えが必要
スコア内訳
用途 x 予算で選ぶ
| 用途 | 〜1,000円 | 〜3,000円 | 〜5,000円(3冊セット) |
|---|---|---|---|
| M&A全体像の把握・最初の1冊 | サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい(入門編) | — | — |
| 財務DDの基礎知識を作る | サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい(会計編) | — | — |
| LOI〜クロージングの実務を事前に追体験したい | — | サラリーマンが小さな会社の買収に挑んだ8カ月間 | — |
| M&Aの入門〜DD〜クロージングを体系的に学ぶ | — | — | 入門編・会計編・8カ月間の3冊を順番に読む |
よくある質問
まとめ
今すぐ行動するなら、この順番で読む
Step 1(案件探し前):入門編で「買収の論理」と自分の判断軸を固める。924円・通勤2日で読める。
Step 2(案件検討中):会計編でBS・PL・CFの読み方をM&A文脈で鍛える。財務資料を渡されたときに一人で見立てられるようになる。
Step 3(LOI提出〜クロージング):「8カ月間」を手元に置き、各フェーズで主人公の判断と自分の状況を照合する。
3冊合計で税込4,268円。M&Aアドバイザーへの初回相談料(3〜5万円)を払う前に読んでおけば、その相談の質が根本から変わる。
「自分で判断軸を持つ」とは、専門家の言葉を鵜呑みにしないことではなく、専門家の説明を理解して自分の言葉で返せることだ。その土台を最速で作れる3冊が、ここに挙げた本たちである。
著者の関連実装
この記事の著者は1個の関連インタラクティブデモを実装しています。
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