報酬と好奇心

損失回避

同じ大きさなら、得る喜びより失う痛みのほうが大きく感じられる。

結果が分かれる追試やメタ分析で結果が分かれています。効果を前提にしないでください。

たとえば

「1000円得する」より「1000円損しない」のほうが気になる。

なぜ効くか

プロスペクト理論では、人は結果を基準点からの得と損で評価し、損を重く見積もる。607件の推定値をまとめたメタ分析では、損失は同じ額の利得の約2倍の重さだった。ただし、損失回避がどの場面でも起きるとは限らないという反論もある。

Webでの使い方

保証や返金で「試して失うもの」を小さく見せる。保存していないデータが消えることは、離脱の時点で正確に伝える。

逆効果になる条件

「今やめると失う」と煽る表示や、解約時に損を強調し続ける画面は、ダークパターンとみなされる。損失の表示は事実で、利用者が判断に使えるものに限る。

根拠

  1. 得と損を基準点から非対称に評価する、プロスペクト理論を示した。

    Kahneman, D., & Tversky, A. (1979). Prospect theory: An analysis of decision under risk. Econometrica, 47(2), 263-291. 資料を開く

  2. 150本の論文の607件の推定値から、損失回避係数の平均を約1.96と推定した。

    Brown, A. L., Imai, T., Vieider, F. M., & Camerer, C. F. (2024). Meta-analysis of empirical estimates of loss aversion. Journal of Economic Literature, 62(2), 485-516. 資料を開く

  3. 多くの場面で、損失が同じ額の利得より大きく感じられるとは限らないと主張した。

    Gal, D., & Rucker, D. D. (2018). The loss of loss aversion: Will it loom larger than its gain? Journal of Consumer Psychology, 28(3), 497-516. 資料を開く

古典とつなぐ

つながりは当サイトの編集上の見立てで、研究の結果ではありません。原文の意味は古典のページで確かめてください。

甚愛必大費,多藏必厚亡。

執着が強いほど費えが大きく、多く蓄えるほど失うものも多い、という一節。持っているものを失う痛みが大きく感じられる損失回避と重なり、損を煽る設計を戒める視点にもなる。

老子(道徳経) 第44章:知足と知止 →

この理論を使うパターン

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